特別記事
臨床試験の領域で活躍する看護婦—欧米のシステムから日本の将来を探る
新美 三由紀
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1筑波大学大学院医科学研究科疫学・医学情報学研究室
pp.1153-1158
発行日 1995年12月1日
Published Date 1995/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904962
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はじめに
平成5年9月3日に発売された抗ウイルス剤ソリブジン(ユースビル®)とフルオロウラシル系抗腫瘍薬(5-FU®)の併用により死亡例が生じた,いわゆるソリブジン事件は記憶に新しい.この事件は,日本の臨床試験のシステムの根本的な問題を浮き彫りにしただけでなく,結果的に,一般の人々に臨床試験に対して不信感と恐怖心を与えてしまった.この事件では製造・販売を行なった製薬企業と,臨床試験に参加した医師,承認を行なった厚生省の責任だけがクローズアップされたが,はたしてわれわれ看護婦はまったく無関係なのであろうか.
わが国では,臨床試験に看護婦がかかわることはほとんどない.現在の看護教育では臨床試験についてほとんどふれず,卒後に看護系の雑誌から臨床試験に関する知識や薬剤情報を得ることもあまりない.また医師から臨床試験に関しての情報提供や協力依頼がなかったことも事実である.このような現状から,われわれ看護婦はあえて臨床試験にかかわろうとはしてこなかった.しかし,欧米ではシステムの違いもあろうが,臨床試験に看護婦が積極的に参加しているのである.
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