連載 買いたい新書
—小松美彦著—死は共鳴する—脳死・臓器移植の深みへ
磯野 富美子
1
1東京大学健康社会学教室
pp.1180-1181
発行日 1997年12月1日
Published Date 1997/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905494
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今,改めて脳死・臓器移植問題について考える
今年の6月17日,第140通常国会で臓器移植法案が可決・成立した.10月中旬の施行を前に,8月18日には厚生省の脳死移植指針案が公衆衛生審議会臓器移植専門委員会に示された.本書は法案の成立前に書かれているが,前書きで著者が指摘しているように,日本で合法的な脳死による臓器移植第1号が生まれるのは時間の問題となった.
しかし,「臓器移植をする場合に限って脳死を人の死とする」という内容の,この法案の成立は臓器移植推進と同時に,脳死論争を—層複雑にした面がある.このような状況のなかで,改めて脳死・臓器移植問題を考えるには,看護職だけでなく一般の人にとっても本書は恰好の書である.
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