連載 看護ボヘミアン—出会いと発見のつれづれ・5
返事はいらない
林 千冬
1
1東京大学大学院医学系研究科博士課程
pp.180-181
発行日 1994年2月1日
Published Date 1994/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904476
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はきだめの貴公子
「若い頃にさんざん無茶したあげく,とうとうこんな病気になってしまって—郷里の人たちからは,戻ってこないでくれって,まわりに迷惑かけないことだけがせめてもの親孝行だって言われてるんです」
40になったばかりのMさんは,九州出身のちょっとした美男子.病名はアルコール依存症とB型肝炎だった.穏やかな物言いでとても礼儀正しい彼は,この病院ではさながら「貴公子」.「看護婦」たちからの評判もすこぶる良かった.
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