連載 —海外文献紹介—Current Nursingピックアップ・29
ハイドロコロイド・ドレッシングの効用について
笹鹿 美帆子
1
1東京都済生会中央病院看護部
pp.737-741
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905148
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はじめに
閉塞性創傷被覆剤が,過去10年の間に臨床で使われることが多くなった.デュオダーム®コムフィール・アルカス®,グラニュフレックス®といったハイドロコロイド・ドレッシング(Hydrocolloid Dressing)もそれに含まれる.
ハイドロコロイド・ドレッシングは,創傷の治癒過程を補足するものとして使用される.正常な創傷治癒過程には,止血,炎症,肉芽形成,上皮形成,および成熟化が含まれる(Bolton & Rijswijk.,1991).理論的には,閉塞性創傷被覆剤(occlusive dressing)は,局所における脱水とかさぶた形成の予防により創傷治癒を早め,肉芽形成と再上皮化を促進する.密封性のハイドロコロイドは水を通さず,ドレッシングは創傷からの分泌物を吸収し,創傷部の欠損を埋めるゲルを形成する(Turner,1988).その効用は理論的には理にかなっており,またその“鎮痛効果”(Nielsen,1989)および“ドレッシング交換の簡易さ”などの利点もあげられる一方,ドレッシング交換の際の緑色で悪臭も放つ多量の分泌物に驚き,その効用に対して疑問を持つ看護者もいるのではないだろうか.
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