特集 高齢患者のせん妄へのアプローチ
せん妄を理解する
一瀬 邦弘
1
1都立荏原病院精神科
pp.306-311
発行日 1996年4月1日
Published Date 1996/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905053
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せん妄を伴うと,疾患の治療,検査,看護は難しくなる.よく聞かれる医療スタッフの苦情は,点滴をはずす,安静が守れない,言うことを聞かない,寝ない,騒ぐ,暴れるなどである.そのため,ときには拘束や隔離,薬物による過鎮静が行なわれたり,治療が十分でないまま退院となるといったことも起きてくる.
また,せん妄によって,転倒による頭部打撲,骨折などといった,二次的な合併症を起こすことがある.さらに,せん妄の鎮静目的の薬物投与が肺炎の重症化を招くこともある.このようなことから,特に高齢者では,せん妄の発症が生命予後不良の徴候ともなりうる.
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