特集 精神科的問題をもつ患者と向き合う
変わりつつある精神科医療—収容から開放への流れのなかで
石田 昌宏
1
1(財)精神医学研究所東京武蔵野病院社会復帰病棟
pp.730-734
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904865
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はじめに
「ハンセン病の恐怖心をあおるのを先行させてしまったのは取り返しのつかない重大な誤り……」
日本らい学会は1995年4月に,らい予防法の廃止を求めるはじめての学会見解を打ち出した.らい予防法はハンセン病の予防,患者の医療・福祉の増進,公共の福祉の増進を目的として1953年に制定された法律である.しかしこの目的は,ハンセン病患者を療養所に収容し,社会から隔離することによって実行された.そこには社会から離され,閉鎖された,わずかばかりの空間で終生を送る運命の人々を思いやる気持ちはみられなかった.それどころか,法律の施行によりハンセン病患者への差別と偏見は増長されていった.
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