連載 看護治療学序説・1【新連載】
看護職にしかできないセラピーがある
早川 和生
1
1近畿大学医学部公衆衛生学
pp.170-171
発行日 1994年2月1日
Published Date 1994/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904472
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看護治療の定義
アメリカでは,1980年代に入ってから看護治療学(Nursing Treatment)が急速に進展してきています.看護診断に基づいて,ナースが独自に展開する看護治療の実践技術の開発に対して,アメリカ国立看護学研究所が大規模な支援を開始していることもその背景にあります.急速に発展しつつある看護治療の最新の内容を総括的にまとめた新しい本に,“Nursing Interventions:Essential Nursing Treatments”(W. B. Saunders社,1992年)があります.看護診断に基づいた実践的介入技術が詳細に記述されています。編著者のJ. C. Mcloskey教授は,NANDA(北米看護診断協会)の有力理事です.本の内容は,実践的であると同時に極めて学術的であり,今後の臨床看護の流れを先導して,貴重となるエポックメーキングな出版物となっています.
看護治療とは,簡潔に定義するならば,「患者さんに対し,機能回復(治療的効果)を目的として看護介入すること」です.看護治療を初めて提唱したのは,ボストン大学看護学部のMellow博士です.彼女は精神看護学が専門で,看護療法(Nursing Therapy)という言葉を使っています.日本では,1980年代に入って,筆者が看護療法を初めて本誌『看護学雑誌』などで提唱しています.
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