連載 全身がん患者・丸刈り〜たの病棟生活・18
人の営み
丸刈り〜た
pp.850
発行日 2000年9月1日
Published Date 2000/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903552
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いかがお過ごしでいらっしゃいますか.月に1度の原稿はいつもEメールで送稿しているのですが,先日「久しぶりに編集会議を」と編集担当の方といろいろとお話しする機会を得ました.畑違いの方との懇談(?)は非常に興味深く,お勉強させていただきました.なかでも「へーッ,なるほど納得!」したのが「看護の本質は“自然治癒力を高める”」「代替・補完医療の存在」でありました,最新の医療技術・看護技術も,その本質は変わらぬ歴史の結果であり,人の営みの経過なのですね.お話をうかがいながら,感慨深い体験を思い出しました.
南米の内陸国ボリヴィアで,ボランティア活動をしていた時のことです.ある日,標高3900mのアンデス山中にある村に出張しました.村の真ん中に大きな川が流れているのですが,ちょうど乾期だったので河原は広くなっていました.その河原から,火がついたように泣き叫ぶ赤ん坊の声が聞こえるのです.見れば,たぶんお母さんなのでしょう,民族衣装の女性がその子を抱いて,そばにいる男性と怒鳴るようにやりとりしています,どうやら夫婦ゲンカとみました.現地語なので内容は理解できないまま眺めていますと,子どもを抱いたままお母さんは声を荒げながら水辺へ行き,しゃがみ込んだのです.
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