特集 看護介入技法としての代替・補完療法
イメージ法の試み—がん患者のwell-beingを高める働きかけ
荒川 唱子
1
1福島県立医科大学看護学部
pp.603-607
発行日 2000年7月1日
Published Date 2000/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903501
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
はじめに
プラスのイメージは病気の予防や治療につながり,マイナスのイメージは病気を引き起こすということが,最近の精神神経免疫学の研究によって明らかにされつつある.「病は気から」という諺が科学的に証明されるにつれ,人々の精神状態が健康に及ぼす影響についても関心が高まっている.がん患者の身体と精神状態の関係について,ます,思い浮かぶのは,「サイモントンのイメージ法」1)であろう.イメージ法の効果については,サイモントン療法に限らず2),看護学生の不安を軽減させること3)や,放射線療法を受ける乳がん患者の不安を緩和させ快状態を高めること4)などが報告されている.
筆者は,化学療法による副作用を軽減させるためにリラクセーション法の効果を調べている.リラクセーションにはいくつもの方法があり,それによる効果の違いを調べる必要性から,現在はイメージ法に焦点を当てている.これまでの被験者はほとんど乳がん患者であったが,データ収集を終えても入院していた被験者とは継続してかかわってきた.それを通して,イメージ法ががん患者に及ぼす影響の大きさと適用可能性について,とりわけ意識するようになった.それは研究の変数だけに注意を向けていてはみのがしてしまうような,それでいてがん看護において軽視できない深い意味をもつものであるように思われる.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.