特集 疾患・外傷のある顔—知っておきたい「見た目」の問題
疾患・障害のある顔と看護—顔にハンデをもつ児童へのかかわりを通じて
藤井 輝明
1
1熊本大学医療技術短期大学部看護学科
pp.398-401
発行日 2000年5月1日
Published Date 2000/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903459
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はじめに
私の顔半分は大きく膨れ上がって「こぶ」状に隆起している.顔面上海綿状血管腫(以下,血管腫とする)といい,毛細血管がとぐろを巻いて視神経を圧迫している病気である.しかし,痛みもかゆみもないので,私自身も病気という意識はほとんどない.命になんら問題はないし,知的障害や身体障害もない.しかし生きていく上で,顔の問題は想像を絶する差別と偏見を背負っていかなければならない現実が待ち受けている.たとえば幼少期のいじめであったり,青年期の職業差別がある.
現代社会では事故や病気が原因で,機能的な問題の有無にかかわらず,明らかにふつうと異なる容貌をもつ人々が大勢いる.日本には顔面に火傷,麻痺,先天異常,太田母斑,交通事故による顔面裂傷などによってそうした容貌をもつことになった人が約40万人もいる.しかし,顔に疾患・外傷のある患者への援助は欧米では盛んだが,日本における医療・看護からの支援は十分ではない.私が看護の道を志したのも,こうした日本の現状をなんとか変えていきたいという思いがあったからだ.
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