特集 嚥下訓練に踏み切るとき—ナースが切り開く経口摂取への道
看護職に期待すること—元歯科医・身障者の視点から
石川 晋
1
1SCD友の会
pp.223-227
発行日 2000年3月1日
Published Date 2000/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903421
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SCDを発病して
私は歯科医師で,3年間大学に奉職後,約25年間開業していたが,11年ほど前にSCD(小脳変性症)を発病した.当初は違った病名に診断されていたが,4年ほど後の再検査の結果,SCDと確定した.少しずつ歩行が不自由になり,患者も急減したが,その後も診療を続行していた.しかし,約3年前に杖の練習中階段を転落したとき,ただちに医院を閉鎖し,3か月の病床生活の後,車椅子生活者となった.当年60歳.少々頑固者だが元気に日常生活を送っている.
SCDは主に小脳が変性,萎縮し,神経失調により末端筋肉の協調性が失われる,国の難病指定の,原因・治療法不明の病気の総称である.症状としては徐々に歩行,書字,発音,嚥下等に障害をもたらす.小脳の変性部位によりその障害程度・部位,状況はさまざまで,一般に進行は緩やかだが,個人差が大きい.私の場合,嚥下障害発現の主症状は時々むせることと多少ののどの違和感くらいだが,手の障害に起因する摂食困難が大きい.
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