研究と報告
尿失禁患者への看護的アプローチを考える—腹部超音波診断装置を用いての援助
三輪 貞子
1
,
広瀬 眞理子
1
,
宮下 紀子
1
,
富永 悦子
1
,
福田 幸代
1
,
山口 小百合
1
,
粂田 喜代美
1
,
森岡 絹恵
1
1京都桂病院内科病棟
pp.585-590
発行日 1990年6月1日
Published Date 1990/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900148
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はじめに
“高齢尿失禁者がわが国では数十万人に及び,その過半数が脳血管障害(CVA)による尿失禁である”といわれている.CVAの急性期には膀胱内留置カテーテル(以下,留置カテ)が用いられ,回復期には尿失禁があっても高齢なので良くならないだろうという理由から,積極的な医療介入がされないまま退院となり,その結果,尿路感染や褥瘡などの発症を見たり,介護する家族が疲労困憊したりして,再び施設に収容される事も少なくない.
当院内科病棟でこれまで尿失禁患者に行なってきた援助は,主疾患の病状の安定を待って1〜2時間毎の排尿状態のチェック,次にその状態に合わせた尿器を使用しての排尿介助,失禁が長引き改善しない場合には留置カテを用い,残尿が考えられる場合は導尿カテーテルによる残尿測定,残尿があったらクレーデ排尿を実施する.また,留置カテが用いられている場合には膀胱訓練(留置カテを一定時間クランプし,開放する)を開始し,尿意を感じたら抜去するという方法で実施していた.しかし,このような従来の方法の問題点として,次の3つが考えられた.
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