連載 それいけ!フレッシュナース[3階病棟の12か月]・10
誰の時間を重要視?
田中 英子
1
,
藤田 悌子
2
,
西元 勝子
3
1公立学校共済組合近畿中央病院
2甲南病院
3自治医科大学看護短期大学
pp.80-83
発行日 1990年1月1日
Published Date 1990/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900037
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「患者さんのためにより良い看護をしたい」というのは,看護婦の誰もが抱く願いでしょう.学生時代は,受け持ち患者さんが1人のため,すべての注意をその1人に払い,きめ細かい看護が行なえていたと思います.しかし,実際の臨床場面ではいくら「1人1人の患者さんに合った看護を」と思っても,日々の業務に流され,なかなか実践できないのが実状です.
ここで昭子さんの行動を振り返ってみましょう.本来なら手術前日は,患者さんが家族との面会時間を多く持てるよう配慮したり,不安の訴えに耳を傾け,少しでも心を穏やかにできるよう援助すべきです.ところが昭子さんは,そんな患者さんの状態より,自分に与えられた処置を終わらせることを先行させ,自分の計画に患者さんを従わせています.患者さんは,面会やその時行なっていたことを,看護婦の処置により中断されても何も言えません.それは,看護婦の忙しさを感じとっているからです.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.