特集 明日の看護を見つめて
新春随想
理想の地域医療を夢見て
松橋 文子
1
1五城目町役場長寿社会対策室
pp.50
発行日 1990年1月1日
Published Date 1990/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661900023
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人口の高齢化が進んでおり,その対策が急がれています.老人人口の増加と共に,単身老人世帯,要介護老人は増加し,その背景には女性の社会進出に伴い,家庭での介護力の低下があります.これらの対策の一環として,保健・医療・福祉の連携を図ることを目的に,訪問看護など在宅ケア総合推進モデル事業の指定を受けるに至りました.
保健婦1年目のことです.妻が寝たきりで夫と息子の3人家族を訪問すると,妻は腹痛を訴えていました.夫に排泄の世話をしてもらうのが申し訳なく,何日も排便を我慢しているとのこと.排便を促しあまりの量にびっくりすると共に,手を合わせてお経を唱えながら涙を流していた姿は,今も忘れることなく残っています.男性が介護するのは大変であり珍しいことでした.あれから20年.訪問指導の中にやっと看護が入ってきたのです.
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