連載 臨床の詩学 対話篇・4
制御不能
春日 武彦
1
Takehiko Kasuga
1
1多摩中央病院・精神科
pp.62-69
発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101578
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強迫神経症はなかなか治療が難しい。SSRIの投与が効果的などと言われているが、そう簡単にはいかないのが実情である。おしなべて強迫傾向の人は、一見したところは穏やかで人当りがよく映るけれど、実は激しさや攻撃性を秘めている人が少なくない。そのあたりを薬物でコントロールしようとするのだが、難しい。行動療法的アプローチも、頭の中で考えるぶんには効果がありそうだが、外来でトライを「宿題」として課しても期待外れのケースばかりである。
強迫的に手を洗って止められない、といった症状は稀ではない。生活にも支障が出る。治療する側も、試行錯誤しつつ患者さんと一喜一憂することになる。医者がオレにまかせろ的な態度だと、むしろ意地でも治るもんかといった泥沼に陥りそうな感触がある。
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