特集2 『発達障害ゆっくりていねいにつながりたい当事者研究』を読む
Review
2.感覚や、それにともなう感情の束のなかから、いきなりまとめあがるような言葉
名越 康文
1
Yasufumi Nakoshi
1
1名越クリニック
pp.54-57
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101406
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ゴッフマンと発達障害当事者研究
本書を読んですぐ、社会学者のE.ゴッフマン(Erving Goffman, 1922~1982年)を思い出した。ゴッフマンは米国の社会学者で、人間の社会的認識について、社会学や心理学、現象学、各種の認識論などを統合的に論じた人だ。どの本の、どこに収録されていたかは失念したが、彼は人間の認識について論じるときに、あるビーチでの体験を紹介していた。そこでは、目の前を女性が歩く姿、波の音、ウェイターの気配、そういった雑多なものが全部同時に自分のなかに入ってきて、それをいかにして認識し、意味をまとめあげていくのか、ということを詳細に描いていた。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.