連載 鵜の目タカノ目ケアマネの目・2
1人暮らしの現実を見通す目
高野 龍昭
pp.816-819
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100979
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1人暮らしの現実を見通す目
3年ほど前の話です.
シローさん(仮名;75歳・男性)は,20年前に奥さんと死別して以降,市街地にある自宅で1人暮らしをしていました.
定年まである公共機関に勤め,そのおかげで,年金も生活には不自由しない程度の相応な金額があり,定年後は悠々自適の気ままな暮らしぶりだったようです.朝は起きたいときに起き,食事は食べたいときに自分で好きなものを作ったり,出前をとったり.暇なときはスクーターに乗って,3 kmほど離れたところの大きなスーパーで買物をするのが楽しみ.趣味は囲碁で,近所の同年代の友人と対局することもしばしばあったといいます.ときには,その友人たちと連れだって,バスで30分ほどの近場の温泉に日帰り旅行も.そして,とにかくタバコが好きで1日2箱は空けるヘビースモーカーでした.
シローさんには50歳前後の会社員の息子さんが2人います.2人ともシローさんの自宅から自家用車で10―20分かかる新興住宅地に家を建て,おのおの所帯を持っています.それぞれの奥さんも会社勤めをしており,大学生や高校生の子どもたちもいるとのことです.
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