特集 がん化学療法 セルフケア支援のABC 後編
しびれ(感覚異常)のセルフケア支援
田墨 惠子
1
1大阪大学医学部附属病院
pp.1084-1089
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100816
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近年,化学療法の進歩により,抗がん剤の副作用による神経毒性の頻度が増加している1).神経毒性には,末梢神経障害や中枢神経障害,聴覚障害や急性脳症などを引き起こす場合があるが,ここでは末梢神経障害の症状であるしびれについて述べる.
しびれ(ジセステジー:dysesthesia,あるいはパレステジー:paresthesia)は,いくつかの抗がん剤に特異的に出現する副作用であり,NCI-CTC(National Cancer Institute-Common Toxicity Criteria)では神経障害に含まれ,末梢神経障害の1つの症状として評価されている.現在,しびれに対する有効な治療法が確立されていないため,症状緩和が困難な場合が多く,患者を悩ませることになっている.しびれに対する看護介入は,早期発見と症状の変化のアセスメントと,転倒や火傷などの続発する合併症の予防が中心となっており,他の副作用同様に患者がセルフケアを獲得できるような介入が期待されている2-4).そのためには看護師にその知識が必要だが,しびれのみに関していえば,他の副作用症状に比べ情報が少なく,知識の獲得が困難な状況といわざるをえない.しびれは医療者の目からはみえない患者の主観的な体験であるから,症状を十分に聞いたうえで,患者とともに個人にあったセルフケアの方法を探し出していくことが求められている.
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