特集 基本から見直そう! 感染予防6つのポイント
「血管内カテーテル関連感染予防対策」を見直す
一戸 真由美
1
1国立札幌病院
pp.448-455
発行日 2003年5月1日
Published Date 2003/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100717
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
院内感染は社会的にも大きな問題となっている.めざましい医療の進歩により尊い命が救われる一方,易感染状態の患者が増え,侵襲的処置を介した感染や日和見感染により命を失う患者も少なくない.このような現状において,根拠に基づいた感染対策を徹底していくことは重要であり,日本でも感染管理を組織化し対策を講じる施設が増えている.
しかし,新しい対策を現場に浸透させるのは簡単なことではない.スタッフ全員が習慣化した古い対策を改め,統一した対策を行なうのは想像以上に困難なことである.感染対策は,現場の状況に見合った実行可能なものでなければ受け入れられず,また,スタッフ1人ひとりが対策の意味や必要性を理解していなければ,効果的な対策を継続していくことはできない.感染管理者は,実践者であるスタッフが主体的に行動できるようかかわっていく必要がある.
筆者は,平成14年度より血液・化学療法病棟・副看護師長兼任の感染管理認定看護師(以下,ICN)として感染管理を行なっている.院内全体の感染管理活動を行なう役割を担っているが,病棟に所属していることから,もっとも身近な所属病棟を中心に感染対策の改善を行なってきた.当病棟の患者のほとんどは,血液疾患の特徴から極度の易感染状態であり,かつ血管内留置カテーテルが挿入されており,血流感染に対して特にハイリスクである.そのため,当病棟における「血管内カテーテル関連感染予防対策」の改善を最優先課題とし,対策見直しの取り組みにかかわってきたので紹介する.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.