肝臓が誇るハイテクノロジー

肝臓は精密な化学工場

　肝臓は，腹腔内の右上部に位置する1.2～1.5kgもある非常に大きな実質臓器です．一般的に，肝臓は“沈黙の臓器”とも呼ばれますが，実際には約500もの多種多様な機能を司っており，“肝心要”と言われる由縁でもあります．また，肝臓は想像以上に大きな予備能力を兼ね備えており，その約7割を切除しても再生することができると言われています．障害度が8割以上になるとさすがの肝臓も十分に機能できず，一部の患者さんは，（生体）肝移植の適応になります．これも，肝臓に大きな予備能力や再生能力が備わっているからこそ可能なのです．

　肝臓には，肝動脈と門脈が流入しています．ここには心拍出量の約25％相当の血流が入り込んでいます．前者は肝臓に豊富な酸素供給をし，後者は消化管から吸収された栄養を肝臓に運搬する役割を果たしています．