特集2 透析の苦痛を「仕方ない」としない
透析患者の睡眠障害の原因を調べずしてサイコネフロロジーを語るなかれ
小池 茂文
1
,
阿部 理恵
2
,
内藤 正子
2
1豊橋メイツクリニック睡眠医療センター
2豊橋メイツクリニック透析センターメンタルケア委員会
pp.1178-1181
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100574
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はじめに
サイコネフロロジーは,透析患者や腎移植患者の精神的・心理的問題に対して相談・教育・指導を行なうことで解決へ導く,精神医学と身体医学のつなぎの役目を担っている領域とされている1).
透析導入時や維持透析中の精神面に大きく影響する因子は,尿毒症など身体的な障害に伴う精神神経症状と,心理的な障害に伴う症状の2つがあり,それぞれが複雑に絡み合っている.それらは時間とともに変化し,透析患者の心理状態をある時は拒絶へ,ある時は受容へと変化させるが,患者個々の背景の違いなどによって,精神神経症状,心理的障害も大きく異なっている.
サイコネフロロジーは,抑うつと不安という言葉をなくしては語れない.そして抑うつ状態は,睡眠障害を引き起こす要因として重要である.また,睡眠障害は抑うつ状態を悪化させ,うつ病の危険因子と考えられている.つまり睡眠障害は,透析患者にとって精神面・心理面での重要な危険信号と捉えることができる.
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