教育講座
―看護師のための―せん妄のアセスメント・予防・治療
中村 純
1
1産業医科大学精神医学教室
pp.556-561
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100465
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はじめに
せん妄は一過性に出現する軽度の意識障害(精神医学ではこれを意識変容と呼ぶ)で,認知機能の低下,錯乱,幻覚,妄想,精神運動興奮,睡眠-覚醒リズムの障害などが同時に起こることによって特徴づけられる.数時間から数日という短期間に急激に発症し,多くの症例は1週間以内,長くても4週間程度と比較的短期間のうちに消失する.
外科手術後および高齢者に発生頻度が高く,総合病院では精神科へのコンサルテーションが最も多く求められる疾患である.一般に,せん妄の発生率は内科系・外科系などの一般の入院患者では10-15%,高齢者および手術後,熱傷などのハイリスク入院患者では40-67%に達するといわれている.また,ICU,CCUなどの環境では高率に発症する.
近年,麻酔学や術後管理の進歩など,高齢者に対して積極的に外科手術を行なうようになった背景を考えると,入院患者の高齢化に伴い,今後さらなるせん妄患者の増加が予想される.
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