ステップアップ
「アセスメントの意味」から見直す がん性疼痛ケア・2
大串 祐美子
1
1東札幌病院緩和ケア病棟
pp.248-253
発行日 2005年3月1日
Published Date 2005/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100111
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はじめに
東札幌病院(以下,当院)では,疼痛ケア専門看護委員の育成を図り,緩和ケアセミナー,がん看護セミナーなどを開催して基礎知識を確認し合い,事例検討で「相手と向き合い理解すること」を繰り返し学び合っている.
筆者が看護部教育委員会のがん看護研修を担当するようになり,4年目を迎えた.院内スタッフの疼痛ケアへの関心は高い.しかし,疼痛アセスメントについては,さまざまな声が寄せられる.たとえば,「通常の看護記録用紙の他にアセスメント用紙に記録するのは面倒」「紙を埋めるために尋ねている」「初期アセスメント用紙を書いても,継続アセスメントにつながらない」「取りっぱなしになる」「チーム内でうまく活用されない」「総合評価が書けない」などの悩みである.
現場の課題解決に向けては,「がんについて理解する」「対象者の生活過程と発病からのプロセスを理解する」「疼痛治療に使用される薬剤についての正しい知識を持つ」「トータルペインとしての理解を深める」ことが鍵になる.トータルペインの視点を持ち,対象理解に努めることは看護の原則である.しかし,言葉ではわかっていても,知識に基づいたケアを実践する過程は,複雑で,平坦ではないと誰もが痛感する.
そこで今回は,前回紹介した疼痛アセスメントの実際1)を踏まえ,当院が直面している痛みのケアの困難について,事例を交えて紹介する.
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