ステップアップ
「アセスメントの意味」から見直す がん性疼痛ケア・1
大串 祐美子
1
1東札幌病院緩和ケア病棟
pp.178-185
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100094
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はじめに
当院では,入院患者の約6割以上(242床中,約140名)が進行・再発・末期がん患者であり,年間死亡者数は平均約370名に上ることから,さまざまな痛みの看護を経験している.最近は,医療機関に入院しているにもかかわらず,痛みがある状態で転院を勧められ,当院に入院する方も増えている.「抗がん剤の治療は終わりました.痛くて動けないのに,2週間以内に病院を移ってほしいと言われ,ショックでした」と話す患者家族も少なくない.
このような背景を踏まえると,緩和ケア病棟(28床)だけに留まらず,全セクション(外来・内科3病棟・外科病棟・緩和ケア病棟)の看護師には,「痛みのケア」を積極的に行なう役割と責任があると感じる.ある特定の看護師だけが,疼痛ケアの知識に精通し,アセスメント能力や技術に優れていても,患者の痛みが和らぐケアは継続されない.
当院では,15年以上前に,独自の疼痛アセスメント用紙を作成し,改訂を重ね,現在に至っている.しかし,これらはまだまだ全セクションで活用されているとは言えない.また,さまざまな苦痛症状を伴うために,アセスメントが困難な患者も増えている.それでもなんとか痛みをとることはできないかと試行錯誤する日々である.
今回から2回にわたり,当院における痛みのアセスメントとケアの実際について紹介する.まず,当院における疼痛アセスメントの流れ(図1)に従い,初期アセスメントと継続アセスメントの方法と留意点について述べる.
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