連載 とらうべ
夢が叶うという不思議な体験
堀 治喜
pp.5
発行日 1996年1月25日
Published Date 1996/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903386
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新年早々,過ぎた年のことを書くのもおかしな話ですが,昨年の8月末,僕はある不思議な生命の誕生に立ち会いました。それは,胸が熱くなるほど感動的な時間でした。大地の鼓動と共鳴したような,あるいは宇宙のリズムと融けあったような,いいしれぬ歓びがからだの芯から湧いてくるのを感じたのです。
僕は,数年前から何人かの仲間と,じぶんたちの野球場をつくっていました。1990年に封切られた映画「フィールド・オブ・ドリームス」を観て感動した僕は,その余韻を胸のうちに仕舞っておくだけでは満足せず,みずから行動に移してしまったのです。「おまえがつくれば,彼はやってくる」という“あの声”を信じて,農夫がトウモロコシ畑をつぶして野球場をつくってしまったように,僕は“あの映画の声”に促されるようにグラウンドづくりをはじめてしまったのです。
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