特集 出生前診断の倫理的問題を問う
看護実践の場にいる看護者が出生前診断について再考しておくこと—今回報告された看護事例をもとに
岡部 恵子
1
1山梨県立看護短期大学
pp.388-393
発行日 1995年5月25日
Published Date 1995/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903373
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はじめに
「出生前診断」に対して,まだまだ肯定の意識を自身のなかに確信できないでいる私である。それは,まさに「出生前診断」をされた妊産婦の迷い・苦しみと同じ性質のものであるような気がする。ただ,診断された当事者ではなく第三者であるから,その悩み・苦しみを我がことと受け止めずにすむ立場にいる私だから,悩み・苦しみも当事者に比しては非常に軽く,決して「出生前診断」を受けた妊産婦の思いに立ちきれないという自覚もある。
今回の特集「出生前診断の倫理的問題を問う」のなかで,2つの出生前診断を受けた妊産婦の看護実践が報告された。この特集のなかでの私の役割は,この2つの実践報告を通して,こうした場合の看護のなかで助産婦をはじめとする看護職者が,倫理的問題を問う時,考えるべき課題として何に目を凝らす必要があるかを考えてゆくことである。
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