連載 とらうべ
セックスレスの時代
頼藤 和寛
1
1大阪府中央子ども家庭センター(精神医学)
pp.533
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903329
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3年あまり前から新聞の人生相談みたいな欄で回答をしている。ときどき性生活の悩みがやってきて,それに紙面で答えると,直後にパタパタと類似の相談が相次ぐことがある。恐らく,それまで悶々としていて,あるとき新聞で似たような悩みのあることを読み,「実はわが家も」とか「我も我も」とかの気持ちになるのであろうか。
近年では自分や相手が「強すぎて困る」という悩みより,「弱すぎて困る」といった訴えのほうが圧倒的に多い。まあ,昔から強すぎるのはあちこちで複数の相手を開拓していくものだから,ひとりに被害が集中しなかったであろう(もっとも,よそばかりに熱心になって本家が孤閨をかこつということはある)。しかし,そんな豪の者も若い世代ではだんだん減っているのではないか。マザコンとか新婚インポとかテクノストレスとかの青壮年が「セックスフル」とはとても思えない。
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