特集 知っておきたい歯と口の健康
胎児期の歯の発育
高木 裕三
1
1東京医科歯科大学大学院口腔機能育成学分野
pp.917-922
発行日 2002年11月25日
Published Date 2002/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902983
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はじめに
口腔の健康が全身の健康と大きく関係していることが明らかになりつつあり,日本歯科医師会と厚生労働省は現在「8020運動」という施策を展開中である。これは国民の多くが,80歳になっても自分の歯が20本あって,口腔機能が十分維持されていることを目指すものである。QOLという観点から,この施策は極めて重要なものと言える。タイトルからすると,これは高齢者を対象としたもののように受け取られがちである。しかし,歯の喪失の原因はう蝕と歯周病であり,共に生活習慣病と呼ばれているものである。小児期から始まるこれらの予防こそが,目標達成の鍵になっている。その原点と言えるのが,歯そのものの理解である。本稿では胎児期の歯の発育について,これまで明らかになっていることをまとめてみたい。
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