特集 ウィメンズヘルスケア
フェミニズム理論とウィメンズヘルスケア
吉沢 豊予子
1
1長野県看護大学
pp.399-404
発行日 2001年5月25日
Published Date 2001/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902644
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
歴史的思想の流れを垣間見ると,フェミニズムという思想の波は19世紀中期以降二度にわたって勃興している。第一波(フェミニズム)は,主にはアメリカとイギリスの1880年から1920年にかけての参政権運動であり,この波で女性は法的,市民的,政治的権利を獲得し,公的な開放を勝ち取ることとなった。第二波は1960年代に起きた波であるが,第一波が公的領域の平等が目的であったとするならば,第二波は私的領域(家庭生活),セクシュアリティ,身体と感情のなかに踏み込んで,女性の抑圧を“家族”・“産む性”という観点から見つめ,近代社会,資本主義生産様式のあり方の問い直しを求めた波であった。この二度目の波は既に過去の遺産となった思想ではなく,現在なお大きなうねりを見せており,今私たちが取り組もうとしているウィメンズヘルスケアの概念を産みだした波でもある。
本稿では,第一・第二波フェミニズムに基づくフェミニズム理論を解説し,ウィメンズヘルスの概念が基盤とする理論,考え方について述べていきたい。
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.