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クリニカルパスとは
クリニカルパス(以下パス)とは,多職種からなる医療チームが協働で実践するための行動計画を時系列でまとめたものである。これは時間(疾患・処置により時間の単位は異なる)を横軸にとり,医療ケア項目(治療,検査,薬剤,退院計画など)または各職種の項目(「助産婦」,「医師」,「看護婦」,「栄養士」を項目にし,職種ごとに業務内容を挿入する)を縦軸にとったマトリックスで構成される。なおパスは,1950年代に開発された製造工程管理やプロジェクト管理を行なう手法であるPERT(Program Evaluation and Review Technique)の体系の一部であるコスト効率を考慮にいれたCPM(Critical Path Method)に由来している1,2)。
医療におけるパスは,1986年に米国の看護職であるKaren Zander氏により,「ケアマップ」として開発された3)。パスが米国に導入された背景として,高齢者・障害者対象の公的医療保険であるメディケアにおける医療費の高騰を抑制することを目的としたDRG(Diagnosis-Related-Group)が開発されたことにある。DRGは,急性期入院の疾患・処置を約500のグループに分類し,在院日数と平均的なコストを定めたリストである。メディケアは,入院費用をカバーするパートA(包括払い)と外来費用や医師への報酬(出来高払い)をカバーするパートBから成り立っている。1983年よりメディケアのパートAにDRGに基づく包括支払い方式(DRG/PPS)が適用されるようになった。Zanderはこのように割り当てられた在院日数とコストの範囲内で,標準的な質の良い医療ケアを提供し,望ましい結果が得られるためのツールとしてパスを病院へ導入した。
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