特集 どう援助していますか.外国人妊産婦
子どもの命に国境はない—無国籍状態にある子どもについて
李 節子
1,3
,
キャロリン・S・スティーヴンス
2
1東京女子医科大学看護学部
2メルボルン大学
3東京大学大学院国際保健学専攻発達医科学教室
pp.696-703
発行日 2000年8月25日
Published Date 2000/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902466
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はじめに
日本で暮らす外国人はこの10年で急増し,外国人登録者は約155万人,超過滞在者は約27万人である。その入国の背景,国籍,民族性が多様化してきている(表1)。大人が国境を超えて移動すれば,それに伴って子どもが移動し,親の出身表1 在日外国人の構成員・母子保健医療福祉制度国以外での誕生,生育が当然存在する。また定住化が進み,外国人は確実に「住民」として,共に生活している(図1)。
また,一般社会,マスコミ等などで「外国人」をテーマに取り上げられることも多くなった。なかでも「資格外就労者」,「不法滞在者」は「犯罪者」としてのみ大きく取り上げられている。その議論の多くは治安面についてであり,また「外国人」を「労働力」としてどう取り扱うかである。しかし,そこに生きる「隣人としての外国人」の福祉,医療,人権の面から問われることは極めて少ない。
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