特集 在日外国人母子のケア
助産婦さんに送るメッセージ—国籍・人種によらず,あなたを信頼する人の力になって下さい
大島 静子
pp.657-659
発行日 1994年8月25日
Published Date 1994/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901077
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移住労働の女性たちと日本側の受け入れ方—10年前と現在
ちょうど10年前,1984年2月,当時品川駅にあった東京入国管理事務所で私は初めて,怪しげなスナックから必死で逃げ出し,帰国の途につこうとしているフィリピンの娘さんに会った。ひとりぼっちだったその人は,涙を流しながら体験を語った。それは,女性の家HELP(アジア女性緊急避難所)をつくる準備の時期だった。その2年後に開設してから1993年までに,HELPには移住労働や国際結婚の女性たち1600人あまりが,日本のなかの“地獄”から,命からがら駆け込んできている。一昨年からこどもの数が増え続けているのが目立っている1)。1990年以降東京都は,人道的立場から毎年HELPへの補助金を出している。
シェルター(避難所)といっても,宿泊できるところは少なく,それも短期間である。自立の準備のための施設はごく限られている。最近は,さまざまな人権侵害,家庭内暴力事件や出産後路頭に迷うケースが増えているので,長期滞在型のシェルターの必要性はますます大きくなっている。
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