特集 性同一性障害とインターセックス—その人が納得の性を生きるための支援
インターセックス:出生時から思春期までの性的自己認知様式の変貌と問題点
田苗 綾子
1
1国立小児病院内分泌代謝科
pp.132-138
発行日 2000年2月25日
Published Date 2000/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902346
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はじめに
インターセックス(半陰陽)をもって生まれた子供にとっては,性別不明外性器(ambiguous genitalia)に対する対応,自己認知による性の問題(gender-identity problems),性の再確認(sex reassignment)の問題はきわめて重大な問題である。各自において認知様式が異なること,さらに年齢の経過に応じて性の自己認知が変貌するので単純ではない。
ドイツ・ハンブルグの小児病院の心療内科のDittmann1)が最近発表した一例をご紹介しよう。事例は,出生時性決定の不確かさ(initial uncertainty)のまま一人の男児として育てられたが,陰茎が小指の先端ぐらいで,先端に尿道口がなく,腟があり,同部位に尿道の開口している共同尿生殖洞のため4歳からは女児として思春期まで育てられた。しかし,思春期後期からは声変わり,体格の男性様変化により,現在は男性として生きているという。もちろん,彼でさえ何回も外性器の形成外科的治療とホルモン補充治療を余儀なくされている。
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