特集 母乳育児成功のコンセプト(上)
みんな母乳育児を望むのに30%しかできないのはなぜか—医療者の常識を疑うことから始めなければ
永山 美千子
1
1家庭医学ジャーナリスト
pp.745-749
発行日 1998年9月25日
Published Date 1998/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902005
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広がり始めた母乳育児への取り組み
ここ数年,母乳育児への関心の高まりはとても大きくなってきている。例年8月初旬に開催されている「日本母乳の会」の母乳育児シンポジウムには'96年,'97年と両年とも約900名の参加があった。毎年9月に開かれている日本母乳哺育学会も年々参加者が増えているし,また日本母性衛生学会でも母乳のセッションはいつも満員である。もちろん日本母性衛生学会では,長い間,母乳のセッションには参加者の関心が高かったが,乳房マッサージをめぐっての論争が続いていた。筆者はここ10数年参加していて,何か本質的なものが忘れられているのではないかという気がしていたが,最近4〜5年ようやく,母と子にとっての母乳の持つ意味の重要性が注目されてきたように思われる。
熱心に参加されていた医療者には大変僣越だが,母親たちの想い,願いと医療者たちの間には,まだまだ大きな乖離があるような気がする。
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