連載 ハローベイビー—神戸市立王子動物園子育てストーリー・7
偉大な母親「茶目子」さん
谷岡 正之
pp.546
発行日 1998年7月25日
Published Date 1998/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901963
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茶目子はメスのカバさん,今年で45歳.人の年齢にすれば80歳を越えるお年寄りだが,まだまだ元気だ.この茶目子は今までに17回も出産し,子どもを育てた偉大な母親である.いつも安産,子育て上手,しかも子煩悩,まさにお手本のような母親だ.彼女の娘や息子たちは日本各地だけでなく,外国の動物園にももらわれている.
カバは水中生活が多い動物で,交尾も出産もほとんどが水の中,出産しても産湯は不要,母親もキリンやシマウマのように子どもの体をなめたりはしない.子どもは生まれながらにして泳ぐ術を身につけ,お乳を飲むのも水の中.息を吸って潜り水中で横たわっている母親の乳首を吸う.乳首は正方形に4本並んでいるが,ワイドな口で2本一度にくわえ一気に吸い込むこともある.その間,約1分,苦しくなれば水面まで上がり息を吸ってはまた潜る.乳を飲んでいる時以外はたえず母親の顔の近くにぴったりと寄り添う.時折,小さな耳を前後に動かすしぐさは実にかわいい.
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