分娩体験記
分娩とは偉大なる力なり
原口 アキ
1
1鹿児島県立大島病院
pp.42-43
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203382
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□高年初産婦にして自宅分娩□
幼くして父に死別し母の手一つで育てられた私は,母との生活にあまんじ,また仕事に生がいを感じて,結婚ということは縁のないもののように思いこんでいました.出雲の神様がはるばる奄美大島に出張になされたのか,縁あって未知の人と昭和36年7月37歳にて結婚.同月30日最終月経となり,あまりのスピードに驚ろき,我が血のつながりが宿った喜びにつわりは苦い経験でしたが,勤務を続け規則的生活に心がけ,何をするにも生れ出ずる子供のためにと,はりあいがあり人生観が変わってきました.
最初胎動を感じた時の何ともいえぬ気持.夏の台風シーズンの折,強風にふきとばされながらの出勤.冬の寒い夜宿直に出かける時,胎内のまだみることできぬ我が子にすべては試練だよといいきかせながら,苦しい時嬉しい時,よく独語して歩いたものでした.
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