特集 周産期ケアの地域システム化
産科はすべて救急である
長屋 憲
1
1国立医療・病院管理研究所医療政策研究部
pp.359-365
発行日 1998年5月25日
Published Date 1998/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901926
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はじめに
分娩を取り巻く環境を大きく変え得る時が,やっとわが国にも訪れつつある。しかし,どうして変える必要があるのか,そして,どう変えていくのかを正しく理解していなければ,このチャンスを逃してしまう危険性も高い。なぜなら,環境の改善には,個々の施設の業務内容を大幅に変える必要が伴うから,正しい認識が欠けている人の多くは,不安や憶測のために現状を維持しようと必死になる。また,恐らくこの機会を逸しても,直ちに危機と直面して,改善していなかったことを悔やむ施設は僅かであろう。けれども,それら施設は,さらに多くの母児を新たに犠牲とし,やがて,そう遠くない時期に大きな償いを要求されることになる。
本稿では,周産期領域の医療従事者が知っておかねばならない日本の現状を解説し,問題点を解決し得るであろう新しいシステムの方向性について述べる。
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