ケース・レポートの周辺を聞き歩く
僻地と産科救急—その実態と対策を探る
佐久間 憲子
1
,
藤 キヨ子
2
,
山井 カツセ
3
,
秋本 宏
1
,
二瓶 トシイ
1
,
細波
1福島県立会津若松総合病院
2福島県只見町役場明和支所
3福島県只見町母子健康センター
pp.643-651
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204961
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年の暮れもおし迫ったある晴れあがった日,私たちは上野駅から乗り込んだ。列車は武蔵野の平野を一路北上し,車窓に映る北関東の山々の頂きは早や雪化粧をみせ,落葉しぎった雑木林の近影と相いまったその自然の景観に,都会生活の塵埃を洗い流されるような一時であった。
列車はさらに北上し,長い清水トンネルを越えるとあたりは打って変わって一面雪の世界の真只中。文字どおり小説「雪国」の冒頭の文が蘇えるような天地の逆転の中で,佐久間憲子さんがもたらしてくれた〈僻地からの子癇による飛び込み分娩に遭遇して〉のレポートの周辺を,これから探ろうとする緊張をおぼえたのは,雪の冷気のせいばかりではなかった。
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