コーヒーブレイク
結婚式,披露宴あれこれ
T. S.
pp.527
発行日 1982年6月1日
Published Date 1982/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205395
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☆ 終戦直後,某青年医師が某女と恋愛関係に落ち入った.その話をかぎつけた田舎の厳父殿"親に何も言わずに,素性のわからぬ女と結婚するとは何事だ.嫁は家の方で探す"と立腹し,それから暫くして,その厳父殿は一人の娘を連れてきて,"お前の嫁はこの人だ.この人は○○高女を首席で卒業し,品行方正,学業優秀で,おれ達の家系には最適の人である"と言う,彼女と気の進まぬ彼氏を無理矢理神社に連れて行き,結婚式をあげさせた.ときに,彼女はモンペ姿,彼氏はカーキー色の詰め襟の洋服に戦闘帽姿であり,披露宴は行われなかったが,その後の結婚生活は仲がよく幸福そのものであった.
☆ ある有名な結婚式場で,大安吉日の日曜日45組の結婚式と披露宴が行われた.その38組の結婚式に出席した,一つの式場からおごそかな笛の音が聞こえてくるかと思うと,一つの披露宴からは"高砂や…"の謡曲やら別の会場からは流行歌が聞えてくる.広い庭を眺めるとあちらでもこちらでも絶えず三組か四組の記念撮影が行われている.一度坐った場所を離れるときには,必ず自分の持物は全部持って行き,必ず顔見知りの人の後におくれないようについて行かないと,他家の行列に入ってわからなくなる.式も披露宴もすべて時間厳守であり,全くのコンベアシステムの結婚式・披露宴であり,自動分析のフローシステムにのせられたような味気ない感じであった.
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