特別記事
大震災から2年.よみがえった毛利助産院—1996年10月20日・27日神戸・毛利助産院竣工披露宴レポート
河合 蘭
pp.149-153
発行日 1997年2月25日
Published Date 1997/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901649
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開かれた助産院
改装の披露宴は,10月20日,27日の2日間に分けて行なわれ,私は2日目前日の夜からおじゃました。見事にすっきりしたおしゃれな建物にびっくりし,玄関の戸をあけると,すぐに居間が広がっていた。「まあ,いらっしゃい!」毛利さん,来春からスタッフになる次女・多恵子さん,そのほか数人の先客の方々と,パッと顔が合った。テーブルの上には,お鍋がぐつぐつと煮えている。昔の日本家屋も,土間に続いてすぐにいろり端があり,客人はちょうどこんな感じでつるりと上がり込んだのだろう。この作りは,毛利さんが新しい助産院に託した思いを映し出している。
毛利さんは,新しい助産院について,かねてからこうおっしゃっていた。「私は,ここを“開かれた助産院”にしたいと思っています。ほかの助産婦さんはもちろん,病院の先生でも,誰でも来ていただきたいのです。そして,ここでどんなお産をやっているのか見ていただいて,いいところがあったらどうぞ持って帰ってください,という気持ちです。私は今度の震災で,一度ゼロになりました。そのとき皆様に支えていただいたお返しとして,私はこれから,そんな生き方をしたいと思っています」。毛利さんは,自分のためだけの助産院にはしない,と堅い決心をしていらっしゃるのだった。
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