Medical Scope
分娩停止
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.863
発行日 1996年10月25日
Published Date 1996/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901577
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分娩が長びくというときに私たちが用いることばでは,「遷延分娩」というのが有名です。これは英語のprolonged laborを訳したもので,日本では初産婦で30時間,経産婦で15時間以上を要する分娩と定義されていますが,国際的には24時間以上を要する分娩とされています。この遷延分娩という診断名にあたる分娩例は,その分娩の途中で,どこかで分娩が進行しない状態になっているはずで,その時点のことを最近は表題の分娩停止という診断名で表わすことになりました。
分娩停止ということばは英語のArrest ofLaborを訳したもので,分娩に有効な陣痛(子宮収縮)はあるものの2時間分娩が進行しない状態,つまり先進部も下降しないし,頸管も開大しないし,展退率も良くならないという状態を意味します。ここで注意してほしいのは,陣痛,すなわち分娩に有効な子宮収縮があるのに……という条件つきであることです。たとえば,微弱陣痛のようなときにはこの診断名はつけられません。では,分娩に有効な陣痛とはどんな陣痛でしょう。これは内測法で計測して,子宮内圧が最高50mmHgを越える子宮収縮を意味します。
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