MEDICAL SCOPE
胎児神経学の登場
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.791
発行日 1995年9月25日
Published Date 1995/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901326
- 有料閲覧
- 文献概要
超音波断層法の非常な進歩によって,私達にとっては暗やみの世界であった子宮の中の胎児をみることができるようになりました。最初はただ胎児をみる……ということで主に形態的観察を行なってきました。しかし,胎児は子宮内で動いているということがわかり,胎児の動きをみるようになりました。
はじめは,ただ単にどう動いたとか,動くか動かないかという点を観察をしていたのですが,一つひとつの胎児の動きを連続的にみること,すなわち,胎児の行動をモニターすることにより,胎児の機能をそこから考えるようになりました。つまり,胎児の行動モニタリング(胎児行動学とでもいえるでしょうか)から,その行動を支配したり,行動させている神経機能を推測する学問へと発展してきたのです。一定期間の胎児の各行動をモニターし,それを分析することによって,胎児の神経機能の発達をとらえたり,正常ではない症例を発見するという臨床上の産科周産期医療へ参加する段階にまでこの分野を発展させた方がおられます。日本での第1人者は九州大学の小柳孝司先生です。
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.