特集 性暴力被害と向き合う
性暴力被害者へのカウンセリングの現場から
高桑 茂
1
1ビスターリ・カウンセリング研究所
pp.639-644
発行日 1995年8月25日
Published Date 1995/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901297
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はじめに
阪神大震災で被災された方々の救済のために,多くのボランティアや専門家たちが神戸へ出かけて援助を行ないました。そのなかでとくに目を引いたのは精神科医や精神ボランティアの活動や心の電話相談など,衣食住の供給やけが,身体疾患の治療などの目にみえる形の救援活動以外の,“傷ついた心の癒し”の作業が行なわれたことでした。数年前のサンフランシスコ大震災や十勝沖地震の際の救援活動の教訓を阪神大震災で生かすことになったといわれています。
新聞にはPTSD(Post Trauma Stress Disorder心理的外傷後ストレス障害)の文字がなんども登場し,“被災した小学生に絵を書かせろ”とか“被災者の辛い体験をきけ”といった急場の治療法が声高々に述べられていました。この急場しのぎの対応は被災者に拒否されたり,無視されることが多かったようです。
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