連載 とらうべ
人生いろいろ
鈴井 江三子
1
1三宅医院
pp.5
発行日 1994年1月25日
Published Date 1994/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900939
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先日久しぶりに,昔一緒に働いていた看護婦さんに会った。以前から持っている卵巣膿腫が痛みだしたため,私が勤務する医院に診察に来たという。微熱も2週間ほど続いているようで,化粧っけのない顔とけだるそうに動く様子から,彼女が職場を去ってからの歳月の長さを感じた。
彼女に初めて会ったのは今から13年前である。当時19歳の彼女は,准看護婦として就職してきた。面接当日の,からだにフィットした服と,首に巻きつけてある金の鎖が印象的であった。就職して間もなく,高校時代から付き合っていた彼と結婚し,すぐに男の子が生まれた。はたちの母である。年が若いせいもあってか,お洒落が好きな彼女は子供が生まれたからといって決してみだしなみに手を抜くことはなかった。もともと派手人間が大好きな私は彼女と気が合い,夜勤などで一緒になると朝方までよく話しこんだものである。
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