連載 とらうべ
望む!適切な産院情報
松田 博美
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1「産科・産院情報BOOK」編集
pp.983
発行日 1992年12月25日
Published Date 1992/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900699
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4年ほど前のことです。はじめての出産を控えた私は,当時創刊の続いた妊産婦向けの雑誌を愛読していました。「へえー,4か月で赤ん坊は10センチかぁ」「貧血防止にはカツオのガーリックソテーかぁ」などなど,それまでの生活にはまったく関係のなかった未知の世界への窓口として多いに楽しませてもらったものです。もっとも,この手の雑誌では出産のときの鮮血したたる写真さえ,ファッショナブルに洗練させてしまうところが恐ろしくもありましたが。
そして,今ひとつもの足りなさを感じたのは,出産入院の体験手記でした。「夫とともにラマーズ法で産みました」「助産婦さんの母乳管理で大成功」「家族部屋のある病院」といった記事や手記は,なるほど納得はさせられますが,現実に目を向けるとそんな助産婦や医師,そして産院との出会いは宝くじに当たるような偶然に頼るところが大きいのです。たとえば雑誌や本で「これだ!」という産院をみつけても,実際の産院選びとなれば,通いやすい近所の施設をあたるのが一般的です。そのとき,自分に合った産院を探し出す目が私たちには必要です。よくいわれるように「出産は人任せにしない態度が望ましい」からこそ,産院を選ぶとき患者は多くの情報を得てしかるべきだと思うのです。
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