特集 地域で母子をケアする
地域で母子をケアする
岩永 俊博
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.364-368
発行日 1992年5月25日
Published Date 1992/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900563
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はじめに
いろいろな人が暮らしている。子供から老人まで,それぞれが,それぞれの毎日を送っている。さまざまな仕事をしている人たち。元気な人もいれば,病気の人もいる。妊娠している人,子供を育てている人。幸せにみたされながら,妊娠や子育てをしている人,不安に駆られ,悩みながら妊娠,出産,育児の経過をたどる人。他の人のことを気にしたり,人と話したくなったり,そのくせ1人になりたがったりしながら,毎日生活している。そしてそんな暮らしのまわりに,町があり,田んぼがあり,山がある。それが地域だろう。そんな地域で,母子をケアするとは,どんなことだろう。
近年,母子保健のみならず,難病やリハビリテーション,精神保健,老人保健など,さまざまな分野で施設内ケアから地域ケアへ,あるいはその連携などが重視されるようになった。それは,医療費の問題もあるだろうが,根本的には,患者の生活の場の基盤は地域であり,施設に入ることは,その人にとって,生活の一部であるということや,施設自身も地域の中にあって,さまざまな社会資源の1つとして,地域で暮らす人たちの,健康問題の解決への支援の役割を果たしていくということを意味しているだろう。
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