Medical Scope
ECMO(エクモ)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.257
発行日 1989年3月25日
Published Date 1989/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207586
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今月の表題のECMO(エクモ)ということばが何を意味するのか,皆さんはわかりますか。新生児室やNICUで勉強したことのある方は聞いたことがあるかもしれませんが,その他の助産婦諸姉にとっては,あまり耳にしたことのない学術用語でしょう。これは,Extracorporeal Membrane Oxygenationの略で,その名のとおり体外循環で血液の酸素化を図る人工心肺のことなのです。
重症の未熟児のRDS,気胸,胎便吸引症候群などでNICUの新生児が重い呼吸障害に陥った時,新生児の心臓や肺にはその機能を一時休んでもらい,新生児の血液をからだの外にある人工心肺につないで酸素化を図ってから新生児へもどします。このように一時的な体外循環を行ないながら,基礎的な疾患の治療をして,それがよくなったら新生児自身の体内循環にもどすという治療法です。この体外循環,つまり人工心肺のような治療法は,ヒトの肺にあたる組織が膜で作られているので,「膜型肺による心肺機能補助」と正式にはいわれています。
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