特集 産婦人科への東洋医学的アプローチ
中医学の産科への応用と実際
岡田 研吉
1
1岡田医院
pp.206-210
発行日 1988年3月25日
Published Date 1988/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207336
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はじめに
私が東洋医学に関心を持ったきっかけは,およそ10年前,藤枝市立病院の産婦人科に勤務していた時代に,妊娠10か月の妻が骨盤位になったことに始まる。当時同僚であった林田先生(現東邦大学第一産婦人科)は足の小指の灸と鍼治療で,みごと15分で頭位に矯正してしまった。妻に感想を求めると"鍼灸治療で好い気持ちになり,ウツラウツラしていただけで骨盤位から頭位に変わる瞬間はまったく気づかなかった"とのことであり,妻も私も,そこに立ちあって超音波検査で事の成りゆきを判定した技師も,全員手品にだまされたような気分であった。最悪の場合は帝王切開も覚悟していたのが,その晩はいつ陣痛が来てもいいよと皆で焼津のおいしい寿司を食べにくり出してしまった。その後仙台の橋本敬三先生の"操体法"を学び,鍼灸だけでなく整体術でも妊娠中の腰痛症や骨盤位が直ることを知り,奥の深い東洋医学の勉強を開始したしだいである。
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