特集 母親たちの不安を支える
妊産褥婦の不安を支える—当院の実態から不安へのアプローチを考える
今野 静
1
,
早坂 一子
1
,
村松 ツヤ子
1
,
佐藤 延子
1
,
鈴木 フミ
1
1福島県立医科大学附属病院
pp.1031-1037
発行日 1987年12月25日
Published Date 1987/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207277
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はじめに
人が不安を抱くのは,どのような時であろうか。未知のことに取り組むとき,あるいは重大な事態に直面したときに,人は心理的に不安定な状態に陥るものである。
女性にとって,妊娠および出産は,その生涯のうち最も重大な出来事のひとつである。その体験には,ホルモン環境の変化はもとより,個人の背景(性格・知能・教育・生活史・家庭環境など),その時代の社会文化的状況が複雑に影響し合い,母親を,平常とは異なる特殊な心理状態に置くことになる。現代の母親をとり巻く環境にも問題が多く,母親たちは,身近に相談できる人も得られず,孤独な妊娠生活を送り,かつ,育児に取り組んでいるとも言われている。
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