連載 新生児理解のための基礎講座・17
新生児の免疫と感染症
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター新生児部門
pp.696-702
発行日 1986年8月25日
Published Date 1986/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206937
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新生児は,成人ならば重篤な免疫不全症候群とほぼ同じといえるような特異な免疫状態にあるため,種々の抗生物質が開発された今日においても新生児医療において感染の占める位置は大きく,胎児の2%は子宮内で,新生児の10%は出生時期に何らかの感染を受けているといわれるほどである。
新生児の感染症も,疫学的観点からみると,時代の流れとともに変わりつつある。ブドウ球菌(リッター氏病)や溶連菌による感染症が新生児室内で大流行し多くの新生児が死亡した従来型から,あまり病原性の強くない日和見的な細菌(opportunistic bacteria)による散発約発生の型に変わってきている。さらに近年になり,従来あまり知られなかったB群溶連菌やクラミジアによる新生児感染症などの新しい感染症がクローズアップされてきた。
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